2006年02月18日

花一匁





誰でも口ずさむ懐かしい童謡「はないちもんめ」をいちど絵にしたかったので、庭の花を小皿にのせてみました。ちょうど一匁(いちもんめ)です。


勝ってうれしい花一匁 負けて悔しい花一匁
となりのおばさんちょっときておくれ 鬼が怖くて行かれない 
お布団かぶってちょっと来ておくれ お布団ぼろぼろ行かれない
お釜かぶってちょっと来ておくれ お釜そこ抜け行かれい
びんぼ びんぼ びんぼ びんぼじゃないよ
あの子が欲しい あの子じゃわからん
この子が欲しい この子じゃわからん
相談しよう そうしよう  きーまった 
カン吉が欲しい カン吉が欲しい 
<じゃんけんぽん>



                 絵 孫の風音







長さ21cmの棹には匁(もんめ)、分(ふん、ぶ)、厘(りん)の目盛が20匁まで刻まれています。
どなたか、この匁計りを手にしてみませんか。
目に見える形のあるものだけでなく、目に見えない形のないものでも皿にのせて計ってみたい軽い衝動にかられます。

月満ちる光は皿の上で円錐形にになるでしょう。
虹駆ける夢は工房をつきぬけて、人恋うる想いは天秤にかけられません。

幾世紀を経た道具は姿形が変わることなく、時の色や匂いをにじませていて、ほのぼのとしたロマンがあります。



これはまったく余談になりますが、この頃、朝夕、肝交わち語るカン吉のことが気になり



やっぱり太り気味です。朝の散歩が20分短く運動不足のせいか、いやいや3時のアイスクリームのおやつのせいか、カン吉にも花も実もあるものにしてあげたいので心します。



  

Posted by 風音 at 12:46Comments(0)TrackBack(0)父子相伝の道具

2006年01月07日

仕事初め



1月4日、仕事初めは儀式のひとつとして、火を起こすことから始まります。火の神は年の末に天に昇り、年の初めに地に戻ってくると言われています。

  

手のひらにひと盛りほどの銀を陶器の小皿ルツボに入れて溶かします。青い炎をあて、ぼうぼうと燃えだすとルツボの中の銀は溶けだして、やがて丸くもりあがり、黄金の光を放ちます。
火の神話を生みだした原始のエネルギーをみることができます。火は万能です。

  

素材はまっとう正直なものだ
打つ人の心のかまえが形になる
欲をだせば ゆがむ
語りかければ 答えてくれる

父、誠睦の教訓です。道具もすべて父手造りのものです。
打つだしの左右の指の使い方、目配り、座る姿勢も父から習いました。でも私の槌音は父のそれとはどこか違うのです。父子相伝の響き、音色ではないのです。
何故だろうか。今年の仕事初めも、昔の音を追っかけることから初まりました。

今日のムーチービーサはただものではありません。冒頭に詠う「光・風・水に咲く花」を吹き散らす寒さです。
地球のエネルギーを貪欲に食い荒らしていたら、神様も怒ります。神々の月日も、まっ平らには照らしてくれません。昨今そんなことが心配です。

※ムーチービーサとは旧暦の12月8日、丁度、今日の寒さをいいます。この日は水にひたした米を粉にしサンニンの葉に包んで鍋で蒸した餅を子供たちの年齢の数だけ部屋につるして鬼を退治、魔物を払って健康を願います。

 

わが工房でも今年五才になる愛犬カン吉の年の数5個のムーチーをつるしました。  

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2005年12月17日

フイゴ祭り

年月(とし)ぬ走(は)いや 馬ぬ走(は)い

駆ける馬のように歳月は過ぎ、今は暖をとる火が恋しい12月の半ばになりました。
 その昔、旧暦11月15日、新暦でいうと、ちょうど12月の今頃、金細工や鍛冶屋では
フーチヌカミに花を活け、お茶をあげて祀るフイゴ祭りが行われました。



耳慣れない吹子・フイゴは一種の送風機で、またの名をフーチョーパンチョーとも呼ばれています。箱状の本体の前と後ろに小さな窓があり、風圧でパンチョパンチョとお伽噺のような音を出すので風変わりな名前がつけられました。全国でも5指の数もない珍しい貴重なものです。
これが、わが工房にも鎮座ましまして、まるで工房主みたいな存在感です。



目を射る黄金の炎、パチパチはぜる音、飛びかう火花。
昔の物の原型はその中から生まれたのでしょう。もう一度呼び戻したい熱と光です。
現在はガソリンバーナーを使っています。今週、県立博物館の学芸員の方が訪ねてみえました。
このフイゴがお目当てでした。新都心に新しい博物館の建設が予定されていて、
そこで、500年の歴史をもつ金細工の一端を復元したいご意向のようでした。
復元といえば、昔のフイゴ祭りもみたいものです。年の暮れで、寒い季節になると、金細工や鍛冶屋は火を抱くような仕事をしているので、この時期にフイゴ祭りが行われたようです。
その日は主人や職人達が集まって、まずカンカンカンと金床を、三回打つことから始まったといいます。なんとものどかなものです。でも、お供え膳料理はものすごいものです。ものの本によりますと、金槌などの道具と一緒に、口にツバキの葉をくわえさせた豚の頭をまるごとお供えしたといいますから。言葉ではいえない祭事への想い入れです。ところがフイゴの神様は女でありありながら女嫌いだったようです。はじめに女の客が来ると塩をまいてお払いしたと言います。
女を嫌うのは職人達が女を見ると心を乱し、よく焼けないまま金槌を打つので、いいものが出来ないというのがその理由でした。当工房ではこれは困ります。今は女性が身につける銀細工を作るのが仕事ですから、女嫌いの神様は困ります。昔ながらの婚礼指輪、房指輪を手にして、
『あぁ、沖縄に生まれてよかった』とおっしゃった女性の方がいて、私も『あぁ、金細工職人に生れてよかった』と感動したのが、つい先週のことだったのですから。


 ♪ 吹子(ふうち)ふち火花  顔にふち飛ばち

      芸ぬ奥ふかさ 道やあぐでぃ


77歳の時の父の琉歌です。



 ♪ 父親(うや)ぬ言葉(いくとば)や 銀(なんじゃ)色美(いろじゅ)らさ

      肝とめて我(わん)や  後に残さ



さて来週は・・・・・?  

Posted by 風音 at 14:36Comments(0)TrackBack(0)父子相伝の道具

2005年06月30日

父子相伝の道具・その3

    『三本の金槌



  手にしたこの三本の金槌の柄には金細工の歴史が刻みこまれています。
  
  19年の、あの、いまいましい10・10空襲では代々の大小の大道具、小道具すべてが
  
  焼失しました。そのなかでも、この三本だけは六代目・誠睦が無意識のうちに手にして、
  
  難をのがれ、いわば奇跡の道具です。

   
    『平打ち指輪』   

   

  平打ち指輪を作りあげた金槌たちは声なく、父祖代々の家訓を告げました。
  
            『 銀の素材は まっとう正直なものだ 
    
              打つ人の心がそのまま形になる
 
              欲をだせば ゆがむ 

              語りかければ こたえてくれる

              自然の草木に見習って 打て
 』

    

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2005年06月21日

父子相伝の道具・その2

これは金細工を象徴する金床といいます。
その前には父祖代々がしずまり座している想いに、おもわず襟をただします。



まず、この上に銀の板版、棒状のものをおいて、
金槌で打ち延ばしたり、打ち広げたりするのです。
槌音はあたりの心を引き寄せるリズムがあり、向かい合って打つと、
まるでピアノの連弾の旋律が楽しめると思います。

一度、聞いてみませんか?

昔を偲ぶ道具と音律、私達も大事にしているものです。  

Posted by 風音 at 17:31Comments(0)TrackBack(0)父子相伝の道具

2005年06月14日

これ?ご存知ですか

  これ?ご存知ですか


  昔の計量器、匁計り(もんめばかり)です。
  銀細工ではなくてはならないものです。
  長さが21cm、小皿、分銅(おもり)と2本の紐がついています。
  童謡の『勝ってうれしい花一匁』の匁計りです。
  昔を偲ぶ郷愁の想いを小皿にのせて計ったら、何もんめでしょうね。

  重さの単位は、匁(もんめ)・分(ぶ)・厘(りん)・毛(もう) と言います。
  この古い言葉は、今でも工房で使われています。

  古い道具はだまったまま、多くを語ってくれます。

  一度、おみせしたいものです。  

Posted by 風音 at 17:28Comments(1)TrackBack(0)父子相伝の道具