2006年04月01日

ジーファー

先週、沖縄市から、いつか作る人に会って、作る人の手もとでじかに見たいとジーファーを買いにお客さんがみえました。匿名希望なので、”美里さん”と呼びます。

ジーファー

うりざね顔が貴族、小ぶりの丸顔が庶民のジーファーです。いずれも女性を象徴したもので、世界に類をみない形です。


美里さん「貴族のものはすらっとして、普通の人のものはころっと可愛いですね。
       髪に優しそうですね。私に一本作ってください。」

 私   「喜んで、と言いたいのですが、手もとになく、何本か約束があるのでいつになるか…。」

美里さん「髪にさしていいですか」

      豊かに髪をたばねて、ジーファーをさした後ろ姿を鏡にみて、ほっと溜息をつきました。

美里さん「ご無理でも、是非欲しいです。
       これを身につけると、ほんとに沖縄に生れてよかった。そんな気がして」



ジーファー

私は、一日の始まりに、一日の想いをこめて、髪を解き、結い、かんざしをさした情景を思い出しました。
それは母でした。

 私   「限られたなかで、作る時間があれば、それは後を継ぐ者を育てる時間に使いたい。
      1本を10本に残すようにしたい。これが今の私の仕事です。」

美里さん「みんながもっと前から日常生活の中に琉球の独自の文化をとりいれていたら、
      もっと残っていたのかもしれませんね。
      私たちが職人さんが居られない、育たない環境にしたのかもしれません。」

 私   「どんなに時代や環境が変わっても、私は代々の技と形、
      結び指輪、結びかんざし、房指輪を一個でも多く残さなくては」



ジーファー

これは父が結び指輪をもとに作った結びかんざしです。野に咲く一本の草花のようで、後世に伝えたいものの一つです。


  真心ゆくみで 結び指輪(いびがに)や

      代々ぬある限り 残しぶさん


                               母 マカ



ホームページを見てきた美里さんとは初めて会ったのに、まるで10年の知己のように、琉球文化のいろいろ、今どきの流行のいろいろ、話しました。結びかんざしを一本、作ることになりました。


ジーファー


       美里さんありがとう

         来てくれて

         話ができて


  



Posted by 風音 at 14:22│Comments(5)
この記事へのコメント
女性らしい、あでやかな髪型によくあってますね。シンプルで、素敵なじーふぁですよね。
Posted by みやらび at 2006年04月01日 14:32
この間はお世話になりました。
お話もとても楽しくて、やっぱり職人さんとお会いすると元気が出ます。物づくりは奥深い!!
結びかんざしが出来上がるのを楽しみにしています。初夏には自分の髪の長さに合ったかんざしが挿せると思うと、本当に楽しみです。
もし宜しければ、またいろいろなお話を聞かせて下さいね。
追記:URLは私のブログです。
Posted by 美里 at 2006年04月02日 00:05
はじめまして。
沖縄が好きで、東京で琉球舞踊を習っています。
ジーファーって貴族と庶民で違ってるんですね。
とっても形が可愛くて素敵・・・。
まだまだ琉球文化は詳しくないけれど踊りと一緒に
学んで行きたいなと思います。
ブログ楽しく読ませて頂きますね♪

来月、再来月かな?ヤマクニブを買いに沖縄に遊びに行きます。
なんとも言えない懐かしい香りですね。
Posted by 真菜 at 2006年04月12日 15:00
昨日、七夕の日に主人からジーファーを贈って頂きました。

結婚1周年記念で、先週から友人の住む沖縄を訪ねてしばらく滞在していました。以前から沖縄の金細工似興味があったので、いつか手にとって見たいとそっと思いつつ・・・国際通りを捜し歩いておりました。
またよしさんの作品を見つけたときは本当に嬉しくなりました!
私自身がジュエリーデザイナーという仕事をしていて、デザインの傍ら自分でも作品造りをしているから、優美なジーファーの形やしゃらりと奏でる房指輪の金属音が、私の心を捉えて離しませんでした!!!

多分、そんな姿を主人はよくよく見ていたのでしょう。

通りを後にして、私を福州園へ連れ出してくれた主人が「今日は七夕ですよ!私の織姫様はこれが御所望でしたかな?」と、手持ちが無かった為に購入を諦めていた銀のジーファーを手渡してくれました。

今日からまたいつもの日常に帰るのですが、スーツ姿の私の髪にはジーファーが飾られ、今も沖縄の風を感じています。
どうかいつまでもお元気で、良い作品を造り続けてください。
応援しています。
Posted by 鞘野 伽織 at 2006年07月08日 15:49
海外に住んでいて、夏に里帰りの際、又吉さんの金細工工房へお邪魔させて頂きました。 私は 全ての作品に心を奪われました。私自身も金細工をしており、又吉さんの弟子入りを夢見てしまいました。1センチ、1ミリでも サイズを変えたくない 沖縄の伝統工芸にかける 心がすごく伝わりました。今回は、お忙しい中 仕事の手を止め、いろいろ話をして下さった 又吉さん どうもありがとうございました。また、是非 伺わせて下さい。
Posted by 直子 at 2014年09月07日 23:52
 
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